平野選手世界大会団体金メダル

592E9971-CE3E-4D6F-9ACE-B29BE0260DD3 世界理美容選手権大会 ヘアワールド2025 in パリ
──挑戦の3年間、仲間とつかんだ金メダル──

世界最高峰の理美容の祭典「ヘアワールド2025(世界理容美容技術選手権大会)」が、9月13日から15日にかけてフランス・パリの「Porte de Versailles」で開催されました。
私は日本代表・全理連ナショナルチームの一員として出場し、団体戦バーバーカップで金メダル、クラシックカップで銀メダルという結果を収めました。

バーバーカップでは、Test1 コマーシャルフェードカットで金メダル、Test2 ロースキンフェードカットで5位入賞。
クラシックカップでは、Test1 クラシックフェードカットで金メダル、Test2 クラシックカットで4位入賞という、日本チームとしても快挙を達成することができました。

この大会に向け、私たちナショナルチームは3月から8月までの半年間、毎月2日間、東京・代々木の全理連ビルで合宿を行い、世界一を目指して技術を磨いてきました。
私自身にとってはシニア部門での3度目の挑戦。
1年目はがむしゃらに練習を重ね、奇跡的にスキンフェードカットで銅メダルを獲得。
2年目は「技術を極める」をテーマに挑み、同種目で金メダル、さらに個人種目でも3種目の銅メダルを獲得しました。
しかし、団体戦は惜しくも銀メダル。悔しさを胸に、「次こそ団体で世界一を」と誓い、3年目の挑戦が始まりました。

今大会ではキャプテンを任され、「個人の技術より、チームで勝つこと」を意識しました。
トレーナーの先生からも「金メダルを取った経験をチームにシェアしてほしい」と言われ、技術・コツ・手順を仲間と共有。
「できるところは皆で上達し、できないところも一緒に克服する」──そんな一体感のあるチームに成長しました。

9月10日、羽田空港を出発し、14時間半かけてパリへ。
現地に着いてからは時差ボケや電圧の違いに苦しみながらも、ホテルの部屋を即席のトレーニングルームにし、朝から晩まで練習を重ねました。
フランスの電圧は日本より強く、ドライヤーの風量や乾き方が全く違う。
慣れるまでの2日間は思うように仕上がらず、「なぜできないんだろう」と自信を失いかけたこともありました。
それでもトレーナー陣の厳しくも温かい励ましに支えられ、3日目には調子を取り戻し、ようやく“本来の調子”を取り戻せました。

迎えた大会初日。
会場は各国の選手たちの熱気に包まれ、照明の角度や位置取りまでもが勝敗を分ける真剣勝負。
カウントダウンの「ファイブ・フォー・スリー・ツー・ワン・アンド・ゴー!」の掛け声と同時に、一斉にギャラリーの歓声が響き渡ります。
35分という短い時間の中、集中力を極限まで高め、カットとスタイリングを仕上げていきました。

1日目の結果発表で、日本チームはTest1で金・銀メダルを獲得。
団体戦でも金メダルに一歩リードし、会場は歓喜に包まれました。
その夜は疲労と安堵が入り混じり、気づけばソファーに寄りかかって眠っていたほどでした。

2日目の競技では、ディフェンディングチャンピオンとしてのプレッシャーもあり、納得のいく出来ではありませんでしたが、全員が入賞を果たすという日本チーム初の快挙を達成。
なかでも、アドバイスを重ねてきた同期の日本チャンピオンの仲間が見事優勝を果たした瞬間は、悔しさよりも喜びの方が大きく、まさに「チームで勝つ」ことの意味を実感しました。
そしてこの結果をもって、日本チームは団体金メダルを獲得──長年の目標が、ついに現実となったのです。

思えば、この3年間は支えてくれた多くの人たちのおかげで走り抜けることができました。
トレーナーの先生方、共に働くサロンの仲間たち、そしていつも応援してくれる家族。
一人では決してたどり着けなかったこの舞台に、心から感謝しています。

これからは、自分が得た経験を次の世代に伝える番です。
日本一を目指す人、世界を夢見る人、コンテストに挑戦したい人──そんな挑戦者たちの背中を押せる存在になりたい。
そして、「理容の世界にはこんな可能性があるんだ」と一般の方にも感じてもらえるよう、技術の研鑽を続けていきます。

理容は、ハサミひとつで人を変え、笑顔を生む仕事。
これからも“挑戦する理容師”として、世界に誇れる日本の技術を磨き続けます。

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